03) 地之巻 ★ サッカーの法則

サッカー語訳

日本でも海外でも、この法則の実践者を「サッカーの達人」と呼んできました。この法則を学ばないことは、サッカープレーヤーには決して許されません。

現在、数多くの者がサッカー指導者として生活していますが、彼らの多くは個人技の習得にフォーカスしています。茨城県の鹿島神宮や千葉県の香取神宮のグループが、サッカー神から伝授された個人技習得メソッドという触れ込みでいろんな流派を立ち上げ、全国を廻って指導をしているのが最近話題になりましたが、これもその例です。

昔から、サッカーでは十能七芸と呼ばれる様々な能力や技術が必要と考えられてきましたが、その中で最も役立つのが個人技ということで、そこに焦点を当てることが多いようです。しかし、サッカーを個人技に限定すべきではありませんし、個人技のみを追求していては、個人技自体も身に付きません。

また世間では、目を引く個人技を売り物にし、その個人技を駆使するプレーヤーをも売り物にし、そのプレーヤーの身に付けている道具までも売り物にしようとするマーケティングが行われています。しかし、そこにあるのは装飾だけで、サッカーの法則に関わる実質はありません。インパクトや華やかさのある個人技を教えるスクールに所属し、そのような個人技を駆使できるようになれば、サッカーで勝利を得ることができるという考えは、所謂「生兵法、大怪我の元」そのものです。

あらゆる分野に、それぞれの法則があります。様々な農機具を適切に使い、気候の変化に正しく対応するための、農の法則。酒造メーカーは商の法則に従って、設備投資をし、様々な品種の酒を造り、的確な価格設定によって利益を最大化します。スポーツプレーヤーは、各スポーツの法則に従って、状況に合わせたプレーを選択し、能力を最大限に発揮します。種々のプレーの機能や特性に無関心な者は、スポーツプレーヤーとしては失格です。大工は、様々な道具で様々な部材を作り、寸分の狂い無く組み合わせ家を建てますが、大工の法則に沿っているからこそ、大工として生活できるのです。

この後に、サッカーの法則を大工の法則に喩えて説明します。大工の法則に喩えるのは、大工が家を建てる仕事だからです。「家(あるいはホーム)」というのは、建物だけでなく、一族や、職業や流派やスタイル、帰属する地域や組織やチームなど、幅広い意味があります。大工の建てる「家」をこの広い意味でとらえてみてください。また、大工とは「大きくたくむ(工む)」と書きますが、サッカーの法則もまさに「大きなたくみ(工)」です。サッカーの法則を体得したいと願っている皆さんはぜひ、この本に書かれていることを、リーダーは針にメンバーは糸となってチーム全体に縫い込んでいくように、練習を続けていってください。

 

★ 原文・・・『武蔵の五輪書を読む』(播磨武蔵研究会「宮本武蔵」)より

一 兵法の道と云事。

漢土和朝迄も、此道をおこなふものを、兵法達者と云傳たり。武士として、此法を学ばずと云事有べからず。

近代、兵法者と云て世をわたるもの、これハ劔術一通りの儀也。常陸國鹿嶋かんとりの社人共、明神の傳として流々を立て、國々を廻り人に傳事、近き比の事也。

いにしへより十能七藝とあるうちに、利方と云て、藝にわたるといへ共、利方と云出すより、劔術一通りにかぎるべからず。劔術一へんの利までにてハ、劔術もしりがたし。勿論、兵の法にハ叶べからず。

世の中を見るに、諸藝をうり物に仕立、わが身をうり物の様に思ひ、諸道具に付ても、うり物にこしらゆる心、花實の二つにして、花よりも実のすくなき所也。とりわき此兵法の道に、色をかざり花をさかせて、術をてらし、或ハ一道場、二道場など云て、此道をおしへ、此道を習て利を得んと思事、誰か謂、なまへいほう大きずのもと、誠なるべし。

凡、人の世をわたる事、士農工商とて四の道也。一にハ農の道。農人ハ、色々の農具をまうけ、四季轉変のこゝろへ暇なくして、春秋を送る事、是農の道也。二にハ商の道。酒を作るものハ、それ/\の道具を求め、其善悪の利を得て、とせいを送る。何もあきなひの道、其身/\のかせぎ、其利を以て世をわたる、是商の道也。三にハ士の道。武士におゐてハ、さま/\の兵具をこしらへ、兵具品々の徳をわきまへたらんこそ、武士の道なるべけれ。兵具をもたしなまず、其具/\の利をも覚へざる事、武家ハ、少々たしなミの淺きものか。四には工の道。大工の道におゐてハ、種々様々の道具を
たくみこしらへ、其具/\を能つかひ覚へ、すみかねをもつて、其指圖をたゞし、暇もなく其わざをして、世をわたる。是士農工商、四の道也。

兵法を、大工の道にたとへて云顕す也。大工にたとゆる事、家と云事に付ての儀也。公家、武家、四家、其家の破れ、家のつゞくと云事、其流、其風、其家などゝいへバ、家と云より、大工の道にたとへたり。大工は、大にたくむと書くなれバ、兵法の道、大なるたくミによつて、大工に云なぞらへて書顕す也。兵の法を学ばんと思はゞ、此書を思案して、師は針、弟子は糸となつて、たへず稽古有べき事也。

 

注釈

特にありません。


04. 4月 2012 by outsidervoice
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