05) 地之巻 ★ 5巻とした理由

サッカー語訳

ここでは、サッカーの法則を、地、水、火、風、空の全5巻に分けて説明します。

地之巻は、サッカーの法則の概要です。私の「ニ天一流」では、個人技だけに打ち込んでいたのでは、真の法則に至ることはないと考えます。広い視野を持ちつつ細かいところにも気を配り、浅いところから徐々に深いところへ徐々に進んでいくのが私の流派の学び方ですが、まずは道筋を造る前の地均しということで、地之巻と名付けました。

2番目は水之巻です。水は心のありようの手本です。水は容器のかたちに合わせて四角にも丸にもなりますし、1滴にも広大な海にもなることができます。この巻では、どこまでも透明な水のように、「二天一流」のことを濁り無くそのままに記していきます。サッカー全体を正しく理解した上で、一対一で常に勝てるようになれば、あらゆる状況で何人を相手にしようとも打ち勝つことができます。勝つというのは、一人の敵に対しても何千万の敵に対しても同じだからです。そしてチームや組織のリーダーは、ひとつひとつの小さな力に、大きなことを成すための役割を与えていくわけですが、それは、大きな大仏を建てるために小さな曲尺が不可欠な役割を担うのと同じです。このようなことを細かく説明するのは難しいのですが、サッカーの法則を習得すれば、一のことからより多くのことを理解できるようにもなるはずです。

3番目の火之巻では戦いのことを記します。火が大きくなったり小さくなったり、その勢いを激しく変化させるところは、戦いの流れそのものです。一対一の局面も、多人数の局面も、法則は同じです。大きな流れと小さな流れの両方をしっかりと把握することが必要ですが、大きな流れに比べて小さな流れはなかなか見えないものです。多数が関わる流れはある程度長い時間継続しますが、1人がつくった流れはその1人の意思の変化に瞬時に反応するので、見逃す危険が大きいのです。このことはよく頭に入れておく必要があります。また、火之巻に記すことには瞬時の判断が求められますが、その特別なスピード感の中に常に自分を置くようにすれば、少しずつ慣れていきます。そうやって特別を普通と感じるようになることが大切です。

4番目の風之巻では、「二天一流」のことではなく、他の流派のことを書きます。「風」という字は昔風、今風、何々風というように使いますが、ここでは様々なサッカー流派、スタイルについて正確に記そうと考えています。他の流派を知らないで、自分の流派が正しいかどうかを判断することはできません。物事を学ぶとき、知らず知らずのうちに正しい道から離れてしまう、外道という状態に陥ることがあります。毎日熱心に練習を続けていても、正しくない練習であるとき、そこには良いことをやっているという自己満足があるだけで、決して実りある練習とはなりません。道を外れていれば、歩めば歩むほど道から遠退いてしまいます。無駄な練習は、練習が足らないのと同じなのです。このことを心得ておいてほしいと思います。

5番目は空之巻です。空に入口と奥の区別がないように、サッカーの法則には、法則を知りつつ忘れるというような、自由と不思議が宿っています。知らず知らずのうちにリズムに乗り、意識することもなくシュートを決め、意識するまでもなく相手のパスをカットする、そういうことが空なのです。この巻では、空という、おのずと正しい道を進むための心理状態について書いていきます。

 

★ 原文・・・『武蔵の五輪書を読む』(播磨武蔵研究会「宮本武蔵」)より

一 此兵法の書、五卷に仕立事。

五ツの道をわかち、一巻/\にして、其利をしらしめんために、地水火風空として、五巻に書顕すなり。

地之巻におゐてハ、兵法の道の大躰、我一流の見立、劔術一通りにしてハ、まことの道を得がたし。大なる所より、ちいさきところをしり、淺より深きに至る。直なる道の地形を引ならすに依て、初を地之巻と名付る也。

第二、水之巻。水を本として、心を水になす也。水ハ、方圓の器にしたがひ、一てきとなり、さうかいとなる。水にへきたんの色あり。清き所をもちゐて、一流の事を此巻に書顕也。劔術一通の理、さだかに見分、一人の敵に自由に勝ときハ、世界の人に皆勝所也。人に勝といふ心ハ、千万の敵にも同意なり。将たるものゝ兵法、ちいさきを大になす事、尺のかね*を以て大佛をたつるに同じ。か様の儀、こまやかには書分がたし。一を以万を知る事、兵法の利也。一流の事、此水の巻に書記すなり。

第三、火之巻。此巻に戦の事を書記す也。火ハ大小となり、けやけき心なるによつて、合戦の事を書也。合戦の道、一人と一人との戦も、萬と萬との戦も同じ道也。心を大なる事になし、心をちいさくなして、よく吟味して見るべし。大なる所は見へやすし、ちいさき所は見へがたし。其子細、大人数の事ハ、そくざにもとをりがたし。一人の事ハ、心ひとつにてかはる事はやきに依て、ちいさき所しる事得がたし。能吟味有べし。此火の巻の事、はやき間の事なるに依て、日々に手なれ、常の事とおもひ、心の替らぬ所、兵法の肝要也。然に依て、戦勝負の所を、火之巻に書顕す也。

第四、風之巻。此巻を風之巻と記す事、我一流の事に非ず。世の中の兵法、其流々の事を書のする所也。風と云におゐてハ、昔の風、今の風、其家々の風などゝあれバ、世間の兵法、其流々のしわざを、さだかに書顕す、是風也。他の事をよくしらずしてハ、ミずからのわきまへなりがたし。

道々事々をおこなふに、外道と云心有。日々に其道を勤と云とも、心の背けば、其身ハ能道とおもふとも、直なる所よりみれば、実の道にハあらず。実の道を極めざれバ、少心のゆがみにつゐて、後にハ大にゆがむもの也。ものごとに、あまりたるハ、たらざるに同じ。よく吟味すべし。他の兵法、劔術ばかり、と世におもふ事、尤也。わが兵法の利わざにおゐてハ、各別の儀也。世間の兵法をしらしめんために、風之巻として、他流の事を書顕す也。

第五、空之巻。此巻、空と書顕す事。空と云出すよりしてハ、何をか奥と云、何をかくちといはん。道理を得てハ道理を離れ、兵法の道におのれと自由有て、おのれと奇特を得、時にあひてハ拍子をしり、おのづから打、おのづからあたる、是皆空の道也。おのれと實の道に入事を、空の巻にして書とゞむるもの也。

 

注釈

特にありません。


04. 4月 2012 by outsidervoice
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