06) 地之巻 ★ 「二天一流」

サッカー語訳

どのレベル、どのポジションであれ、サッカープレーヤーの基本は、右足と左足という2本の足を使ってボールを蹴ることです。2本の足は、利き足と逆足であり、蹴り足と軸足です。サッカープレーヤーが2本の足を使っていることは今さら書くまでもありませんし、その働きをよく知っている、いないに関わらず、サッカープレーヤーはそれでボールを蹴っているわけですが、この2本の足を使いこなす利点を明確にするために、私はサッカーの法則を「二天一流」と呼んでいます。

ヘディングやスローイングももちろん必要な技術ですが、私の流派では、初心者でも常に両方の足を使いながらサッカーを学びますし、それが正しいやり方と考えています。真剣勝負をするときには、そのときに使えるものを最大限に使うべきです。両足の能力を使わずに負けるのは本意ではありません。また、左右とも自由に使える場面はなかなかないものです。両足の練習をするのは、左にスペースがある場面でも、右にスペースがある場面でも、思うようにキックやドリブルができるようになるためです。

ヘディングやスローインは違いますが、キックもドリブルも片足をボールに当てる技術です。敵の背後にパスをするときも、サイドをドリブルで抜けていくときも、密集を越えるシュートを打つときも、フェイントをかけるときも、敵を避けたり欺いたりするボールの経路をつくるためには、その瞬間ごとにボールに当てるべき側の足があり、反対側の足は、身体の他の部分とともに壁をつくり、相手をブロックしたり相手の視界からボールを隠したりします。ただ例外としては、何が何でもボールをゴールに押し込む、あるいはブロックする場面では、左右の区別無く、体全体でボールに対するべきです。

私の流派ではまず、左右どちらの足でもボールを蹴ること、ドリブルをすることから覚えます。逆足は最初重くて動かしにくいものですが、利き足のキックも最初はうまくできなかったはずです。慣れてくれば、利き足と同じまではいかなくても、少しずつ蹴る力が強くなり、コツも身に付き、狙った軌道を楽に打てるようになるものです。正しいキックとは、早く脚を振ることではありません。これについては、第2の水之巻で詳しく述べます。

周りにスペースのあるときはロングパス(シュート)、スペースのないところではショートパス(キック)というのがキックの基本です。ロングの場面でもショートの場面でもその中間(ミドル)の場面でも、相手に痛手となるパスを通しシュートを決めるのが、「二天一流」のやり方です。両足を自由に使うことができれば、密集した場面でも、敵がゴール前に引いて壁をつくっている場面でも、プレッシャーの小さい方の足、あるいは敵の嫌がる軌道を出せる足からのパスやシュートが可能となります。

これ以上の詳細をここでは書きませんが、一から万のことを想像し続けるのが、サッカーの学び方です。そして、サッカーの法則の実践者となったときには、見えないものはなくなっています。じっくり吟味し続けてください。

 

★ 原文・・・『武蔵の五輪書を読む』(播磨武蔵研究会「宮本武蔵」)より

一 此一流二刀と名付る事。

二刀と云出す所、武士ハ、将卒ともに、直に二刀を腰に付る役也。昔ハ、太刀、刀と云、今ハ、刀、脇指と云。武士たる者の此両腰を持事、こまかに書顕すに及ばず。我朝におゐて、しるもしらぬも、こしにおぶ事、武士の道也。此二ツの利をしらしめんために、二刀一流と云也。

鑓長刀よりしてハ、外の物と云て、武道具の内也。一流の道、初心の者におゐて、太刀、刀両手に持て、道を仕習ふ事、実の所也。一命を捨るときハ、道具を殘さず役に立度もの也。道具を役にたてず、腰に納て死する事、本意にあるべからず。然ども、両手に物を持事、左右ともに自由にハ叶がたし。太刀を片手にて取習ハせんため也。鑓長刀、大道具ハ是非に及ばず、刀脇差におゐてハ、何れも片手にて持道具也。太刀を両手にて持て悪しき事、馬上にて悪し、かけはしる時、あしゝ、沼ふけ、石原、さかしき道、人こミに悪し。左に弓鑓を持、其外何れの道具を持ても、皆片手にて太刀をつかふ物なれば、両手にて太刀を搆る事、実の道にあらず。若、片手にて打ころしがたきときハ、両手にても打とむべし。手間の入事にても有べからず。

先、片手にて太刀を振ならわせんために、二刀として、太刀を片手にて振覚る道也。人毎に始て取付*時ハ、太刀重くて振廻しがたき物なれども、萬、始てとり付ときハ、弓もひきがたし、長刀も振がたし。何れも其道具/\に馴てハ、弓も力強くなり、太刀*も振つけぬれバ、道の力を得て振よくなる也。太刀の道と云事、はやく振にあらず。第二、水の巻にて知べし。

太刀ハ廣き所にて振、脇指ハせばき所にてふる事、先、道の本意也。此一流におゐて、長きにても勝、短にても勝故によつて、太刀の寸を定めず。何れにても勝事を得るこゝろ、一流の道也。太刀ひとつ持たるよりも、二つ持て能所、大勢を一人して戦時、又とり籠りものなどのときに、能事あり。

か様の儀、今委しく書顕すにおよばず。一を以て万をしるべし。兵法の道、おこなひ得てハ、ひとつも見へずと云事なし。能々吟味有べき也。

 

注釈

両手を使う意味を、両足を使う意味に置き換えました。また、刀の長短を、キックの長短に置き換えました。


04. 4月 2012 by outsidervoice
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