44) 水之巻 ★ 多敵(たてき)の場合

サッカー語訳

1人で大勢に対処しなければならない状況を、多敵の場合と言います。

左にも右にも行ける体勢を維持しながら、どちらかのサイドに動いて、多くの敵をそのサイドに引き寄せます。なるべく広い範囲を見ながら、向かってくる敵にも対応するわけですが、左へのフェイントで右の敵を、右へのフェイントで左の敵を切るようにすれば、流れに乗ったひとつの動きで、向かってきた二人を一度に切ることができます。

サイドに流れて行くと、自分に対して敵が直線状に並ぶ瞬間があります。その瞬間に、その直線に向かって一気に切り込みます。敵が詰まりすぎているところは先に進めなくなるので避けます。また、敵が来るのを待っていても先には進めません。真横からの攻撃は守備が難しいものですが、その嫌な攻撃を受けた敵のリズムの混乱に乗じて、次々と切っていくのです。

ときどき一対多の練習をしてコツがわかってくれば、多人数相手の局面でも落ち着いてプレーできるようになります。よく練習して、体得してください。

 

★ 原文・・・『武蔵の五輪書を読む』(播磨武蔵研究会「宮本武蔵」)より

一 多敵の位の事。

多敵のくらゐと云ハ、一身にして大勢と戦ときの事也。

我刀脇指をぬきて、左右へ廣く太刀を横に捨て、搆る也。敵は四方よりかゝるとも、一方へおひまはす心也。敵かゝる位、前後を見分て、先へすゝむものにはやく行あひ、大に目を付て、敵うち出す位を得て、右の太刀も左の太刀も、一度に振ちがへて、行太刀にて、其敵をきり、もどる太刀にて、わきにすゝむ敵をきる心也。太刀を振ちがへて待事悪し。はやく両脇の位に搆、敵の出たる所を、強くきりこミ、おつくづして、其まゝ、又敵の出たるかたへかゝり、振くづす心也。

いかにもして、敵をひとへに、うをつなぎにおひなす心にしかけて、敵のかさなるとミヘバ、其まゝ間をすかさず、強くはらひこむべし。敵あひこむ所、ひたとおひまはしぬれバ、はか行がたし。又敵の出るかた/\と思ヘバ、待心有て、はか行がたし。敵の拍子をうけて、くづるゝ所をしり、勝事也。

おり/\相手をあまたよせ、おひこミ付て、其心を得れバ、一人の敵も、十、二十の敵も、心安き事也。能稽古して吟味有べき也。

 

注釈

様々な置き換えについて、皆さんも吟味してください。


06. 4月 2012 by outsidervoice
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